オリジナル記事（独文）： STEPHEN YU
Drake（ドレイク）は将来の妻のためにコレクションし、Kanye West（カニエ・ウェスト）は実際の妻であるKim Kardashian（キム・カーダシアン）のためにアーティストのGeorge Condo（ジョージ・コンド）にカスタマイズを依頼した。Jeff Koons（ジェフ・クーンズ）はアートに変身させ、Virgil Abloh（ヴァージル・アブロー）はOff-White（オフホワイト）のランウェイに送り込んだ。Kate Moss（ケイト・モス）はおむつ用のバッグとして使用しており、Victoria Beckham（ヴィクトリア・ベッカム）は100個以上所有していると噂されている。これらは全てHermès（エルメス）のバーキンバッグの話だ。同バッグはハンドバッグの聖杯であり、先の見えない入荷待ちリストがあるほど入手困難である。しかし、この記事を読めば「Sex and the City（セックス・アンド・ザ・シティ）」のSamantha（サマンサ）のように、あなたもすぐに憧れのバッグを手にすることができるかもしれない。本記事ではバーキンの歴史と魅力、そしてFARFETCHで取り扱っているプレオウンド品について紹介する。
Hermès Pre-Owned Birkin Shoulder Bag
Hermèsの歴史
1837年、Thierry Hermès（ティエリー・エルメス）は、ヨーロッパの貴族のための馬具店としてパリで自身の名を冠したビジネスを立ち上げた。馬の鞍からバッグ、ブーツ、鞭、帽子といったアクセサリーまでを手掛け、1800年代後半に様々な賞を受賞。その高度な技術は高く評価された。1880年にThierryの息子であるCharles-Émile（シャルル＝エミール）が旗艦店を現在の本店所在地であるフォーブル・サントノーレ通り24番地に移転。1900年代には、Thierryの孫であるÉmile-Maurice（エミール＝モーリス）の下で、Hermèsはロシア皇帝の御用達馬具商となる。また、革製品や衣類に使用できるファスナーを初めてフランスに輸入した。1918年にPrince of Wales（プリンス・オブ・ウェールズ）のためにゴルフウェアを作った後、1922年にレザーハンドバッグの製作を開始。その後、オートクチュールはジュエリー、時計、磁器製品、スカーフへと拡大していった。
現代のHermèsはハンドバッグとプレタポルテの2つで定義されている。Martin Margiela（マルタン・マルジェラ）やJean Paul Gaultier（ジャン＝ポール・ゴルチエ）といった優秀なデザイナーを雇い、Jane Birkin（ジェーン・バーキン）のようにロマンティックな物語をファッションで表現してきた。
Hermèsのバーキンバッグが誕生したワケ
1984年、パリからロンドンへ向かうエールフランス航空の機内でバーキンバッグのアイデアは生まれた。パリを拠点に活躍し「Wonderwall（ワンダーウォール）」や「Blowup（ブローアップ）」に出演したイギリス人女優のJane Birkin（ジェーン・バーキン）が、彼女のトレードマークである籐のバスケットバッグを頭上のコンパートメントに詰め込んだ時、中身が座席や通路にこぼれ落ちてしまった。幸運なことに、ファーストクラスへのアップグレードのおかげでBirkinの隣にはHermèsのエグゼクティブ・チェアマンであるJean-Louis Dumas（ジャン＝ルイ・デュマ）が座っていた。「母親になったばかりの自分のニーズを満たしてくれるデザイナーズバッグがない」という彼女の不満をきっかけに、2人は理想のバッグのデザインについて長々と語り合った。そして、彼はエチケット袋の裏に理想とするバッグのスケッチを描き出した。これが後のバーキンバッグとなる。
Hermès Pre-Owned Birkin 30 Bag
バーキンのデザインについて
1年後にDumasがBirkinに贈ったのは、彼女の名を冠した35cmのオリジナル・バーキンだった。同バッグは彼女のシグネチャーである手編みのバスケットをモデルにしている。哺乳瓶を入れるのに十分なスペースがあり、内側には私物を入れるためのジッパー付きポケットを備えている。トートバッグのような構造に長い持ち手が付いているため、シーンに合わせて手や手首、肘で自由に持つことが可能だ。バーニッシュ加工が施されたフラップは、中身がこぼれないように付属のロックとキーで封をすることができ、底面のスタッズにより床に置いた時にはバッグを直立させることができる。
贅沢なレザー使いとサドルステッチで仕上げられたバーキンバッグは、実用性とファッション性を兼ね備えたデザインだ。同バッグの登場は、Hermèsの歴史に新たな章を加えた。伝統的で古典的な製品ラインナップから、現代女性のニーズに合わせたラインナップへとシフト。バーキンバッグとモナコ王女Grace Kelly（グレース・ケリー）にちなんで名付けられたケリーバッグ（1950年代からHermèsを定義していた）を比較すると、後者は堅苦しくおしとやかに感じられた。
Hermès Pre-Owned Birkin 40 Tote
バーキンバッグの価値について
しかし、バーキンバッグはすぐにヒットしたわけではなかった。イットバッグとしての地位を獲得するまでには10年ほどかかっている。限られた生産数で需要を押し上げ、あらゆる有名セレブリティの目に触れたことで、1990年代にはラグジュアリーの象徴となった。2000年代の終わり頃までに、6年の入荷待ちリストは無期限のウィッシュリストとなってしまった。今では例えブランドにコネクションがあっても、上顧客であっても何か保証があるわけではない。限定品の場合、色や素材を選択できる可能性は低い。
とはいえ、すべての努力にそれだけの価値がないというわけではない。バーキンの最初の価格は2,000ドルだったが、約30年後には最もベーシックなバージョンでも11,900ドルになっている。1980年から2015年の間にその価値は毎年14.2％ずつ上昇しており、タイム誌はバーキンを「金よりも優れた投資」「株よりもリスクが少ない」と評価している。鮮やかな色のバーキンは最も希少価値が高く、ピンクやパープルのモデルが最も高値で取引されている。
これまでにオークションで落札されたハンドバッグの中で最も高価なのは、もちろんバーキンだ。バーキンの ”ヒマラヤ” バッグは、ホワイトのアルビノクロコダイルレザーで作られており、特徴的な18金の金具には200個以上のダイヤモンドがちりばめられている。スポーツベッティングアナリストのVegas Dave（ベガス・デイブ）が50万ドルという高額で購入した。彼はこのバッグを200万ドル以下で売ることはないと話しているが、おそらくいつかその金額を手にする日が来るだろう。これがバーキンバッグの魔法だ。
FARFETCHのプレオウンドで見つけるバーキンバッグ
初めてバーキンバッグの購入を検討している方や、自分のコレクションに追加する新しいバッグをお探しの方には、FARFETCHのPre-Owned（プレオウンド）セクションがおすすめ。世界中から一点物のヴィンテージ品を調達し、独自に品質と真正性をチェックしてからお客様の元にお届けしている。中古のバーキンバッグを購入することは投資であるだけでなく、地球環境を守るための一歩にもなることを覚えておこう。
