brands2021年6月18日金曜日

MAD Paris:究極のカスタマイズで手に入れる、世界にたったひとつのタイムピース

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WORDS BY NICK CARVELL

何百万円もする腕時計にさらに宝石を埋め込んだりまったく異なる仕様の仕上げを施すなんて、非常識だと思うかもしれない。しかしMAD Paris(マッド・パリ)は、まさしくその手法で知られるブランドだ。ブランド名の「MAD(狂った)」はそこに由来するのかもしれない。

 
パリにラボを構えるMAD Parisのエキスパートたちは、スイス・ジュネーブの老舗時計メーカーで修業して得た専門知識を駆使し、世界でも屈指の高級腕時計をさらに華麗にカスタマイズすることで知られる。そうして彼らは、ダイヤモンドがちりばめられた《Richard Mille RM67-01》からレインボーカラーのエメラルドがきらめく《Rolex Daytona》、オールブラックの《Patek Philippe Nautilus》まで、羨望を集めるスペシャルなカスタマイズウォッチを世に送り出しているのだ。

 
MAD Parisのチームは、それぞれのモデルについて厳重に守秘することで知られる時計業界のサプライヤー系列を守るため、徹底した秘密主義を貫いている。クリエイティブディレクターが公の場に現れることもなく、プレスリリースも発表されないので、ブランドがなぜ、どのように、誰のために腕時計のカスタマイズをしているのかはベールに包まれたままだ。事情を知るためには、推理小説さながらに内部にアクセスできる仲介人が必要になる…という訳で、約2年間にわたり定期的にMAD Parisから腕時計を買い付けているロンドンのセレクトショップBrownsのシニアバイヤー、Thom Scherdel(トム・シャーデル)氏に電話で話を聞いた。
 

 

MAD Paris Rolex Daytona Openwork SK II 40mm

 

「MAD Parisは、カスタマイズウォッチ業界を牽引する存在です。ハイエンドの腕時計をカスタマイズする会社は他にもありますが、その優れた専門技術ときめ細やかなサービスでもって、世界でトップの地位を確立したと言えるでしょう」


 
その評判を証明するのには、すべての部品がブラックでペイントされて組み立てられる《Ghost(ゴースト)》シリーズを見れば明らかだ。メタルウォッチケースのペイントは難易度が高く、万が一失敗すればケースにヒビが入るばかりか、最悪の場合は時計自体に取り返しのつかないダメージを与えてしまう。そこでMAD Parisでは、ペイントとして使用するダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)を霧状にしてメタルに吸着させる際、メタルの種類によって細かく処方を変えるという、高度な技術を採用。単に黒くペイントするだけではなく、業界でもめずらしい特殊技術を駆使しているという訳だ。
 

 

MAD Paris Rolex Daytona Rainbow engraved 40mm

 

ひときわ目立つためのカスタマイズピースをつくり上げるために、さらに一歩踏み込んだ取り組みも行っている。きらびやかな宝石を時計に装飾することがブランドのシグネチャースタイルだが、ホワイトダイヤモンドがカスタマイズメニューにあるケースは少ない。なぜならこのようなオプションであれば、時計メーカー自体が提供しているか、公認の宝石店で後日付け加えることができるからだ。その代わりに、エシカルな方法で入手したカラフルなエメラルド、サファイア、ルビー、そしてまれにブラックダイヤモンドなどの宝石を使用するカスタマイズに重点を置いている。
 
さて、ここまでに触れていない重要な事実があることにお気づきだろうか。それは、こういったカスタマイズを行うことによって、元の時計メーカーが発行していた品質保証が無効になってしまうという事実である。その派手な見かけ以上に挑戦的なのは疑う余地もないが、シャーデル氏によると、Brownsでは月に1個のペースで約250万~7000万円もするモデルが売れるというから驚きだ。


 

MAD Paris Patek Philippe Nautilus 5990 Ghost 45mm

 

 「こういった真のコレクターアイテムである腕時計の購入者は、既にまずまずのウォッチコレクションを保有する人たちだと思われます。念頭に置いておくべきなのは、MAD Paris製品が正真正銘の一点ものだということ。世界中のどこに行っても、自分と同じ腕時計をつけている人に会うことは絶対にないのです」
 


つまりコレクターたちにとっては、後に発生する修理代を心配することなど、世界にひとつしかない腕時計を所持するステータスに比べれば取るに足らないということだ。それに加え、MAD Parisでは常に追加のカスタマイズリクエストを受け付けている。MAD Parisの腕時計を購入することは、超秘密主義で知られるブランドのチームに、希望する変更箇所を直接伝えられるエクスクルーシブな権利を得るということをも意味するのだ。
 

 

MAD Paris Rolex Daytona Openwork SK II 40mm

 

「例えばロンドンのSouth Molton StreetのBrownsでDiorのアイテムを買った後に、自分の好みに合わせたカスタマイズ方法を直接、Dior HommeのアーティスティックディレクターであるKim Jones(キム・ジョーンズ)氏と相談できるわけはないですよね。店頭でアイテムを購入した後にクリエイティブディレクターと直接話せるブランドなんて、他には存在しないのです」
 


値段を考慮することよりも、ブランドの独自性こそがお金では買えない価値であり、MAD Parisの時計の真の魅力なのだ。ラグジュアリーアイテムでさえも大量生産される今日、自分以外の誰も持っていない腕時計を切望するということは、結局そんなにMADなことではないのかもしれない。


 

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