ラフでいて、スタイリッシュ。ダイナミックでいて、繊細。相反する要素を見事に融合させるデザインこそが Rick Owens(リック・オウエンス)の真骨頂。その前衛的なアプローチでファッションを知り尽くした世界中のセレブリティたちをも虜にしています。本記事では唯一無二のデザイナー リック・オウエンスの生い立ち、デザインの特徴、定番アイテムを解説。
リック・オウエンスの生い立ちとブランドヒストリー
デザイナーである Richard Saturnino Owens (リチャード・サトゥルニーノ・オウエンス)は、1961年カリフォルニア州ポータヴィル生まれ。L.A.のオーティス・パーソンズ・インスティテュートでファインアートを学んだ後、ファッションの世界へと足を踏み入れました。パタンナーとして 8 年間アパレル会社に勤務し、その後さらに 8 年間に渡ってパートナーである Michele Lamy(ミシェル・ラミー)のコレクションでパタンナーを務めました。
長い間経験を積んだ後、ついに 1997 年に自身の名前を冠したブランド Rick Owens(リック・オウエンス)を設立。2002 年にニューヨークでコレクションデビューを果たします。同年に CFDA(アメリカ・ファッション・デザイナーズ協議会)アワードでペリーエリス賞を受賞。2004年秋冬シーズンからはパリに活動の場を移し、パリコレクションで作品を発表し続けています。日本のみならず世界中で絶大な人気を誇る同ブランドの愛用者には、Maddona(マドンナ)、Kate Moss(ケイト・モス)、Gwyneth Paltrow(グィネス・パルトロー)、Brad Pitt(ブラッド・ピット)といった著名人も多く名を連ねています。
リック・オウエンスのデザインの特徴
ハードな素材からなるラグジュアリーなドレープ、アヴァンギャルドで大胆不敵なカッティング、生地を折り重ねたり、ねじったり、寄せ合うことで完成する曲線など、リック・オウエンスらしさとも呼べる個性的なデザインには彼が敬愛しているデザイナーの Madame Greco(マダム・グレ)と Madeleine Vionnet(マドレーヌ・ヴィオネ)へのオマージュの片鱗も伺えます。ミニマルでくすんだカラーを多く取り入れているのも同ブランドの特徴の一つ。リック・オウエンスはカラフルな色をほとんど使用しないことでも知られています。類い稀なるデザイン、そしてミニマルな色への徹底したこだわり。さらに魅力的なのがワードローブにしっくりと馴染むのに、単なる定番アイテムとはならないリアルクローズとしての稀有な存在価値と言えます。
そんなブランドの真髄を余すことなく感じられる、そして今すぐワードローブに取り入れられるリック・オウエンスの定番アイテムを、メンズ、レディース共にご紹介。
リック・オウエンスの定番アイテム
# 01 遊びを意識したクロップド ライダースジャケット
リック・オウエンスの人気定番アイテムといえばライダースジャケット。薄くてしなやかな素材を使用しており着心地は抜群。体のラインに沿った細身のデザインも人気の理由です。インナーとのバランスで遊びを意識して着こなしましょう。
# 02 カジュアルコーデに欠かせないボンバージャケット
ボンバージャケットはレザージャケットと同様に人気の高いアイテム。他ブランドのボンバージャケットに比べて細身で袖がやや長めに作られているのが特徴。ストリートとモードのバランスが秀逸です。サルエルやスウェットパンツと合わせて小慣れたムードを演出しましょう。
# 03 シンプルさと汎用性が魅力のロングラインTシャツ
薄くて肌触りの良い素材を使用したTシャツはロングラインシルエットがポイント。ベーシックですが、同ブランドらしい前衛的な美学を体現した一着となっています。サルエルパンツからレザーパンツ、スニーカーからブーツまで幅広いアイテムとのスタイリングが楽しめます。
#04 ワンランク上のスタイリングを叶えるサルエルパンツ
難易度高めと思われがちなサルエルパンツは、シンプルなアイテムを合わせるのがおすすめ。いつもの着こなしにこなれた抜け感が生まれ、ワンランク上のスタイリングへと導いてくれます。次で紹介するリック・オウエンスの名品ハイカットスニーカー《GEO BASKET(ジオバスケット)》とも好相性。
# 05 ラグジュアリースニーカーのパイオニア《GEO BASKET》
上質なスニーカーを求めてたどり着く人も多いリック・オウエンス。特にハイカットスニーカー《GEO BASKET》はファッション界の歴史を語る上では欠かせないと言われるほどの名品。ストリートシーンにボリュームのあるスニーカーが定着するきっかけとなりました。バスケットシューズがベースとなっているため、タンが長めに作られているのが特徴。2006 年にリリースされてから今まで、アッパーの切り替えやタンの長さ、ソールの仕様など、シーズンごとにマイナーチェンジを重ねながら進化を遂げてきました。
# 06 伝説のパンクバンドから着想を得た《RAMONES》
《GEO BASKET》と並んで、ブランドのアイコンスニーカーとしてファンから熱い支持を受ける《RAMONES(ラモーンズ)》。70 年代に結成されたニューヨーク出身の 4 人組パンクバンド、ラモーンズのファッションやスタイルがインスピレーションとなっています。ミニマルなデザインのため汎用性抜群。ハイカットなデザインなら、コーディネートにさりげなくパンクなアクセントを添えます。
より日常使いしやすいスニーカーをお探しなら、《ラモーンズ》のローカットタイプがおすすめ。定番モデルと同様に、ジグザグしたシャークソールと丸みを帯びたレザートゥキャップ、重厚感のあるシルエットが特徴。《ラモーンズ》はリック・オウエンスのセカンドラインである DRKSHDW(ダークシャドウ)でも展開されており、レザーのほかにキャンバスやコットン、ナイロンなど様々なバリエーションが揃います。
# 07 建築的なフォルムが目を引く《GETH RUNNER》
2021 年秋冬コレクションで初登場し、デザイナーであるリック・オウエンス自身も愛用している《GETH RUNNER(ゲスランナー》。同ブランドらしい建築的なフォルムと長めにセットされたシュータンがポイントです。重厚な見た目ながらも、クッション性のあるインソールにより軽量かつ軽快な履き心地を実現。シューレースはオンオフでき、2 通りのスタイリングが楽しめます。
# 08 足元を美しくモードに演出するロングブーツ
リック・オウエンスはシューズのラインナップも豊富。しなやかなレザーを用いたラウンドトゥデザインのロングブーツは必ずチェックしておきたいところ。膝上までのサイハイ丈に、同ブランドの斬新なアプローチを感じます。ショーツやサルエルと合わせれば、洗練された雰囲気を演出できます。