WORDS BY STEPHEN YU
ロサンゼルスを拠点に活躍するDominic Ciambrone (ドミニク・シャンブロン)、またの名をThe Shoe Surgeon (ザ・シューサージョン)。元靴修理職人のシューデザイナーであり、世界で最もレアなビスポークスニーカーのクリエーターだ。
そんな彼が今回、Farfetchとともにエクスクルーシブなビデオチュートリアルシリーズを製作。世界にふたつとないカスタムスニーカーをつくり上げるためにSurgeon
Studiosチームや彼自身が駆使している、貴重なテクニックを伝授してくれた。
第3回に登場するのは、Surgeon Studiosでチーフペインターを務めるJake(ジェイク)。コーヒーを使ってソールを染めるベーシックな方法を解説してくれる。ビデオを観ながら読み進めていってみよう。
準備するもの
材料:
- スニーカー
- 手袋
- アセトン(除光液や消毒用アルコール、塗料用シンナーなど)
- 清潔な布
- 重し
- 耐熱容器(1、2個のソールが沈む程度の大きさ)
- コーヒー
カラーリングに最適なソールの素材:
「Ultra Boost のフォームソールのような柔らかい素材のものが一番よく染まります。硬いラバーソールも染めることはできますが、日が経つにつれて色落ちする場合も」――ドミニク・シャンブロン、The Shoe Surgeon
染料として使用できる飲み物:
「ワインやクランベリージュースなど色の濃い飲み物でも、薄く色付けすることができます」
カラーリングに使用できる市販の染料:
「Rit社の染料は衣服用ですが、ソールも薄く着色することができます。プロセスはコーヒーで染めるときと同じですが、手肌を保護するため使用する際は必ずゴム手袋をすること。また、ソール専用の染料である<Dark Knight Sole Dye>は、クリアソールやガムソールを染めるのに最適です。ハンドペイントかエアブラシを使って薄くコーティングしてください」
TIP:
ミディアムローストコーヒーを使うと明るい小麦色に仕上がり、ダークローストコーヒーを使えば《Nike Air Force 1 Cactus Jack》や《Air Jordan 1 Union》のような濃いめの色に仕上がる。
染める前の準備
1. クリーニング
工場から出荷されたスニーカーには、表面を保護するために特殊なコーティングが施されている。しかし染料を染み込ませるためには未加工のクリーンな状態であるのが望ましいため、カラーリングする前にそのコーティング剤を取り除いておこう。
1. 布にアセトンを染み込ませる。
2. ソールの表面を全体的にやさしくこする。
2. ソールを取り外す
スニーカーに装着された状態のソールを染めることも可能だが、間違ってアッパーの素材を着色してしまうこともあり得るので、ソールは事前に取り外しておくのがおすすめだ。ソールの取り外しや取り換え、再接着するテクニックについては、第4回のチュートリアルで詳しく解説する。
カラーリング
1. ソール全体が浸る十分な量のお湯(70~88℃)と、適量のコーヒー豆を使用してコーヒーを淹れる。
2. 耐熱容器に①のコーヒー液をゆっくり注ぐ。
3. ②の耐熱容器にソールを入れ、上から重しをしてコーヒー液に完全に浸す。
4. そのまま5~10分漬ける。
5. 取りだしてみて好みの色に染まっていたら、ソールについたコーヒー液を清潔な布で拭き取る。
より濃い色に染めたい場合は、もう5~10分ほど漬ける。
TIP:コーヒー液に付ける時間に比例してソールの色は濃くなるが、一定時間を過ぎると飽和状態になるのでそれ以上濃くはならない。
ミスしたら:
「染料の種類によってはアセトンを使って落とせるものもありますが、大半の場合はもう落ちないと思ってください」
マルチカラーに染める方法:
「特定のソール専用染料でアウトソールを着色してから、薄いコーティングでハンドペイントすればタイダイのように仕上がります」
再接着
ソールをアッパーに再び接着するのは比較的簡単だが、ちょっとした技術が必要だ。次回のチュートリアルビデオでは、ソールの取り換えテクニックを手順を追って詳しく解説する。
耐久性:
「コーヒー液が完全に乾いたら、その色がアッパーやソックスに染みだすことはありません。最後に、アッパーに塗ったものと同様の透明な仕上げ剤でコーティングを施せば完璧。仕上げ剤にはマットやグロス、サテンなど多くの種類がありますが、せっかく染めた色が変わってしまう商品もあるので気を付けて」
ビデオシリーズ、第4回は、The Shoe Surgeonがソールの取り換えテクニックを伝授。お見逃しなく!