数々のユニークな名作を生み出してきた Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)の中でも、屈指の人気を誇るシューズといえば、やはり《Tabi(タビ)》シリーズです。<足袋ブーツ>としても知られるブーツをはじめ、今ではバレエシューズからパンプス、レインブーツまで、様々なバリエーションで展開されているアイコニックなシューズたち。
Martin Margiela(マルタン・マルジェラ)時代の 1989 年春夏シーズンに衝撃的なデビューを果たして以来、《Tabi》はその履き心地と独自のデザインで多くの人を魅了してきました。本記事では、このアイコニックなシューズの歴史や、サイズ選び、履き心地、スタイリング方法について解説します。
そもそも<足袋>とは?
日本人にとっては馴染みのある<足袋>ですが、その起源には諸説あり、一説によると 5 世紀ごろに中国から伝わった<襪(しとうず)>と呼ばれる革製の履き物にあると言われています。11 世紀ごろの文献にはすでに「足袋」と言う記述があるとも言われていますが、靴下のような形状に指股ができたのは、室町時代になり草履が普及してからのことだそうです。
室町時代には武士の間で皮製の足袋が着用されるようになったものの、人前では素足でいることが礼儀とされ、足袋を履くには、時期や年齢など、細かな取り決めがあったといいます。
今日知られている木綿製の足袋が出てきたのは、江戸時代に入ってからのことでした。鎖国の影響や1657 年の明暦の大火により防火素材である皮革の価格が高騰したため、綿を使った足袋が普及したのです。享保になると庶民の間でもファッションとして広く着用されるようになりました。
綿製になってからは<靴下>としての側面が強い足袋ですが、元は皮革でできていたことから考えても、作業用の外履きとしての役割も消えはしませんでした。それが実際の<ブーツ>に進化したものが、明治時代に登場した地下足袋です。最初は足袋にゴム底を縫いつけただけでしたが、ブリヂストンの全身でもある福岡県の会社がより強度のある製品を発表したことで、爆発的に広まりました。こうして、日本伝統の靴下であった足袋に、ワークウェアとしての役割が加わったのです。
Martin Margiela 最初のランウェイショーと
《Tabi》シューズの<足跡>
伝説的デザイナー、Martin Margiela 初のランウェイショーで登場して以来、 30 年以上にわたってアイコニックなシューズとして愛されることになる《Tabi》。しかし、その誕生は容易な道ではありませんでした。
独立する前年の 1988 年、当時 Jean-Paul Gaultier(ジャン=ポール・ゴルチエ)の元にいた Margiela は、日本の足袋にインスピレーションを受けた靴を作ろうと考えます。しかし、靴職人たちは揃って制作を拒みました。
そこに手を差し伸べたのが、初めて Margiela のシューズラインを販売したセレクトショップのオーナー、 Geert Bruloot でした。彼がイタリアの靴職人である Zagato 氏を紹介したことにより、複雑な《Tabi》シューズの製造が実現したのです。最初の《Tabi》は、数量限定の少数生産でした。
こうして、パリで行われた 1989 年春夏コレクションのショーで《Tabi》シューズがお披露目されることになります。登場したモデルたちは、ソールが赤くペイントされた《Tabi》シューズを着用。キャットウォークに文字通り<足跡>を残し、観客に鮮烈な印象を与えました。
《Tabi》シューズのサイズ感と履き心地
《 Tabi ブーツ 》
Joel Mcloughlin (@gallucks)
ファッションブロガー・デザイナー / ロンドン在住
この数年で、Maison MargielaのTabiブーツに対する考えが変わりました。以前はあまり好みではなかったのですが、今はこれまでに購入した靴の中で最も気に入っているもののひとつになっています。
私が履いているTabiブーツは ”アイコニックな一足” と呼ばれることも多いホワイトのアンクルブーツです。しなやかなレザーを使用しているため高級感があり、ヒールの高さも力強く、一般的なブーツより堂々と歩くことができます。スプリットトゥに慣れるには少し時間がかかるかもしれません。最初は違和感がありますが、しばらくすると自然に慣れてきます。私はなぜすべての靴にスプリットトゥが付いていないのかと思うようになりました。
スタイリング :
今日はホワイトのTabiブーツにクリーム色のアンサンブルを合わせて、モノトーンなスタイリングに仕上げました。Tabiブーツはステートメントピースであるため、他のアイテムは控えめにするのが着こなしのコツです。
サイズと履き心地 :
Tabiブーツはいつも通りのサイズでぴったりでした。 履き心地は想像以上に快適です。特にスプリットトゥの足袋ソックスと一緒に履くとより心地良さが増します。
お手入れ方法 :
ロンドンで白いブーツを履くのは危険です。とはいえ、汚れや傷に気をつけながら定期的に湿らせた布で拭けば、完璧な状態を長く保つことができます。
Éloïse Gendry-Hearn (@eloisegendry)
FARFETCHのデジタルマーケティング SEOアシスタント/ ロンドン在住
私はもう何年も前からMaison MargielaのTabiシューズラインに夢中です!ブラックのTabiブーツ(8cmのシリンダーヒールのもの)は、私が初めて自分のために買ったデザイナーズシューズで、これは素晴らしい投資となりました。クラシックなデザインなので、いつでも手に取ってしまいます。
スタイリング :
Maison MargielaのTabiブーツはどんなアイテムにも合うので、私の定番シューズです。今日はAries(アリーズ)のTシャツをMarine Serre(マリーン・セル)の長袖トップスとSaks Potts(サックス・ポッツ)のロゴ入りパンツの上に重ねました。マルジェラのボディスーツやデニムのミニスカートなど、ドレッシーなアイテムと合わせるのもいいですね。
サイズと履き心地 :
私は普段UK7.5なので、このブーツはEU41にしました。少しゆとりがあるので、足袋ソックスを2枚重ねて履くことが多いです。
Tabiブーツは履き心地抜群です。最初はかかとが少し擦れましたが、何度か履いているうちに完璧なデイリーシューズになりました。スプリットトゥのデザインを気にされる方もいらっしゃると思いますが、この感覚はすぐに慣れてくると思います。
お手入れ方法 :
Tabiシューズは非常にお手入れしやすい靴です。丈夫で耐久性のあるレザーを使用しているため、神経質にケアする必要はありません。履いているときに雨が降ってきたら、布で拭いて水滴がつかないようにしましょう。
《 Tabi スニーカー 》
Collin Paris (@collinparis)
ファッションデザイナー / スイス在住
Maison MargielaのTabiシューズは私のドリームシューズです!日本の伝統的な靴にインスパイアされたもので、親指と残りの4本の指が分かれた非常にユニークなデザイン。履くだけで幸せな気分になれる贅沢な靴です。今日履いているのは、Maison MargielaとReebok(リーボック)のコラボレーションによる “Tabi Bianchetto” というスニーカーです。
スタイリング :
Maison Margiela x Reebokの ”Tabi Bianchetto” スニーカーは、日常的なスタイルにも華やかなスタイリングにもスタイリッシュにマッチします。ワードローブの中で最もシンプルな服にこのスニーカーを合わせたとしても、しっかり主張することができるでしょう。
サイズと履き心地 :
Tabiシューズを購入するときはサイズアップすることをおすすめします。特にソックスと一緒に履くときは、大きめのサイズを選んでおいた方が快適です。Tabiスニーカーはとても実用的で安定感がありますね。私はほとんど毎日履いています。たまにこのスニーカーで走ることもあります!都会でも田舎でも履けるスニーカーです。
お手入れ方法 :
私はほぼ毎日Tabiスニーカーを着用しているので、履くたびにブラシと水でお手入れしています。こうすることで常にクリーンな状態を維持できます。白なので天候の良くない日は着用を控えていますね。履かない時は、汚れないように専用のシューバッグに収納して保管します。
《 Tabi パンプス 》
Kailee McKenzie (@kaileemckenzie)
コンテンツクリエイター・デザイナー / ニューヨーク在住
Tabiはクラシックなシルエットだと思います。Maison Margielaのコレクションの中で一番好きな靴は、ブラックレザーのTabiパンプス。他のTabiシューズよりも希少なところが気に入っています。
スタイリング :
Tabiパンプスはカジュアルにもフォーマルにもマッチします。私がパンプスに求めるすべての条件を満たしているシューズのひとつです。タンクトップとワイドパンツ、ボディスーツとスカートなど、どんなスタイルにも合いますよ。夏は一日中履いていますし、冬は穏やかな夜にタイツと一緒に履いています。
サイズと履き心地 :
Tabiパンプスを買うときはいつも通りのサイズ、Tabiブーツを買うときはひとつ大きめのサイズを選んでいます。どちらのスタイルも最初はタイトですが、履くうちにレザーが足の形に馴染んできます。ゆるい感じではなく、セカンドスキンのような感覚で履きたいですね。
個人的にTabiシューズはとても快適ですが、人によっては少し慣れが必要かもしれません。特に足袋ソックスやタイツと合わせて履くと、スプリットトゥが驚くほど自然に感じられます。裸足で履く場合、時間の経過と共にベタベタしてくるので避けた方がベター。
お手入れ方法 :
靴のお手入れは重要ですね。愛用しているTabiシューズの寿命を延ばすために、近いうちに靴底を直してもらおうと思っています。私は靴が新品のように見えるのがあまり好きではないのですが、長持ちさせなければなりません。履かないときはティッシュペーパーを内側に詰めておくことでフォルムを維持できます。そしてたまにナチュラルな革用クリームでサッと全体を拭きます。多少の傷は気になりません。それが個性になるからです。
《 Tabi キトゥンヒール 》
Lily Tran (@lilytr4n_)
マーケティングエグゼクティブ、グラフィックデザイナー、コンテンツクリエイター / メルボルン在住
Maison MargielaのTabiシューズは私のスタイルにぴったりです。特にイタリアンレザーを使用したブラックのTabiキトゥンヒールがお気に入り。リボンの装飾、ホワイトのステッチ、レザーのインソール、ヒールの後ろのスエードのアクセントといったディテールがポイントです。私は個人的に、Tabiブーツよりもこちらの方が好きです。冬はパンツやストッキングと合わせて、夏はスカートやドレスと合わせています。
スタイリング方法 :
Tabi キトゥンヒールはとても万能です。今日はIssei Miyake(イッセイ・ミヤケ)のトップスとスカート(トップスは後ろ向きに着ています)、Comme des Garçons Homme(コム・デ・ギャルソン・オム)のオーバーサイズブレザー、Telfar(テルファー)のミニバッグを合わせてみました。マスキュリンなアイテムとフェミニンなアイテムを組み合わせるのが好きなんです。肩幅の広いスーツジャケットとソフトなプリーツスカート、Tabiのヒールの組み合わせはバランスが良いです。
サイズと履き心地 :
Tabiヒールはいつも通りのサイズを選んでOK。幅広の足の方はハーフサイズアップを検討してみてください。最初はレザーに違和感を覚えるかもしれませんが、時間が経つと足に馴染んできます。履き始めて数週間後には歩いていてもズレることのない、ぴったりとしたフィット感になるはず。円柱型のローヒールは歩きやすいですよ。
お手入れ方法 :
Tabiキトゥンヒールを履く前には、必ずシリコン製のシューズスプレーを吹き付けます。そして、ホワイトレザーの中敷きを保護するために薄い中敷きを入れています。私は靴下を履かずに履くことが多いので、これは重要なポイント。外側のレザーのメンテナンスにはレザーバームやポリッシュを使っています。ブーツの革を保護することで、ひび割れやシワ、くすみなどの経年変化を軽減し、靴の寿命を延ばすことができます。
《 Tabi ローファー 》
Venus Fabbricatore (@vecoolstyle)
スタイリスト・パーソナルショッパー / メキシコ在住
私は長い間、Maison MargielaのTabiシューズの大ファンです。最初に買ったのはTabiのメリージェーンパンプス(ホワイト)で、ボックスから出した瞬間に心を奪われました。手に入れた年(2019年)には、ミラノとパリのファッション・ウィークでさまざまなルックに合わせて履き、多くのファッション関係者から褒められました。私の最近のお気に入りはTabiローファーです。
スタイリング :
Maison MargielaのTabiローファーはどんなスタイルにも合うので、私のデイリーコーデにぴったりです。特にジェンダーレスなデザインがお気に入り。今日は Maison Margielaのブレザーに透け感のあるパンツ、白いタンクを合わせてオーバーサイズなコーディネートに仕上げました。どんなシーンにも合うシンプルなコーディネートです。
サイズと履き心地 :
Tabiパンプスもローファーもいつも通りのサイズでぴったりです。多くの人がTabiシューズは快適なのかと私に質問しますが、答えはいつもイエスです!同ラインをコレクションしている主な理由の一つは快適だからです。
お手入れ方法 :
Tabiモカシンのブラックレザーはお手入れが簡単です。私はいつも履くたびに汚れを拭き取っています。
《 Tabi ミュール 》
Zoé Vya (@zoevya)
アーティスト・ファッションデザイナー / パリ在住
Tabiシューズは世界最高の靴です!私は日本の文化が好きなので、それがMaison Margielaのシューズラインを知ったきっかけとなりました。Tabiシューズは現代的な要素と伝統的な要素が混在しているところが素敵だと思います。
私はTabiブーツとTabiミュールの両方を持っています。Tabiブーツは仕事や友人とのおしゃべり、コーヒータイムといった日常的なシチュエーションに、Tabiミュールは特別なイベントにぴったり。どちらも私を特別な存在にしてくれます。
スタイリング方法 :
足袋を履いたことがない人には少し抵抗があるかもしれませんが、私はすっかり虜になっています。今では親しい友人から ”Tabiガール” と呼ばれるほど。母にも勧めました。Tabiシューズはベーシックな服にもファンシーな服にもよく合い、コーディネートに個性を与えてくれます。
サイズと履き心地 :
Tabiシューズのサイズはデザインによって異なります。例えば私の場合、Tabiブーツは幅の狭い足には大きく感じられたので、サイズダウンする必要がありました。一方、Tabiミュールはジャストサイズを選びましたが、足にぴったりとフィットしホールド感も抜群です。
お手入れ方法 :
私は普段Tabiシューズをよく履きますが、とても大切に扱っています。雨の日には着用を避け、定期的にクリーニングし、オリジナルボックスに入れて保管しています。レザーは上質なので、メンテナンスはあまり必要ありません。最近、パリで靴底に滑り止めをつけてくれる職人さんを見つけたので、長く愛用するために彼のところに持っていこうと思っています。