元記事（英語）：SUZIE BAKOS
アイコニックなコラボレーションでは他ブランドと一線を画している、史上最も影響力があると言っても過言ではない巨大スニーカーブランドNike（ナイキ）。アメリカ発のブランドは、これまで Jacquemus (ジャックムス）やPatta（パタ）からSupreme（シュプリーム）まで、あらゆるブランドとタッグを組んできました。
様々な分野で活躍するクリエイター兼DJ、そして真のスニーカーファンであるBrandon Jinx Jenkins（ブランドン・ジンクス・ジェンキンス）は、こう話します。「Nikeのコラボが素晴らしい理由は、コラボレーションブランドの選定における目利きです。あらゆるブランドとのコラボを実現させ、ベースとなるスタイルも限りなくあります。でも、クリエイティブな才能とそれにぴったり合うスニーカーを結びつける審美眼があるからこそ、これほどの人気を集めているのではないでしょうか。Nikeに深い尊敬を抱き、さらに、つくる靴に並々ならぬ情熱を注ぐ人たちを探し当ててることにNikeは長けていると思います。見識と限りないオプションがあれば成功は、間違いありません」。
若くしてスニーカーコレクターとなったジェンキンスは、10代の頃、スポーツ用品チェーンのFootlocker（フットロッカー）で働き、今ではメディア媒体『Complex』で特集記事を執筆するなど、Nikeの熱狂的人気モデルへの愛着がフルタイムの仕事につながっています。彼のスニーカー界にまつわる知識が、ただのノスタルジックな愛情ではないことは確かだといえるでしょう。今回は、そんなジェンキンスがNikeのベストコラボスニーカーについて解説します。
Nike × Off-White（オフホワイト）のAir Force 1 ミッドカットから、Nike × Louis Vuitton（ルイ・ヴィトン）のAir Force 1、Nike × Ambush（アンブッシュ）のDunk ハイカットなど、スニーカー通ならコレクションしておきたいモデルが揃います。
Nike × Louis Vuitton Air Force 1 スニーカー
「この一足が、史上最も重要なコラボレーションであることは、言うまでもありません。名実ともにLouis Vuittonのメンズウェア アーティスティックディレクターとして大活躍したVirgil Abloh（ヴァージル・アブロー）が手がけたデザインです。ファッション界の2大巨頭による前例のないコラボレーションにおいて、この上なく上質な素材、配色、注目度の高さはもちろんですが、私が惹かれるのはそのアイデアの歴史です」
「最初にLVモノグラム入りのスニーカーを見たのも、確かにNike Air Force 1でした。それは近所に住んでいた年上の子が2001年のプロムに履いてきた偽物。その翌日、学校はそのスニーカーの話題でもちきりで、今でもよく覚えています。そのようなリミックスとアレンジは、私が育った地域ではよくあることで、ブラックコミュニティーの特徴です。一瞬で人目を引くための方法であり、もっと広い視点で言えば、今までつながりのなかった世界同士のオープンな対話と言えます。例えるなら、二人の子供がランチの時間が一緒になったり、共通の友達がいたりして、仲良くなるような感じです。コミュニティ、そしてヴァージルは、そんな共通の友人のような存在なんです」
Nike x Comme Des Garçons Homme Plus Air Max Sunder SP sneakers
「Comme Des Garçons（コム デ ギャルソン）とNikeのスニーカーには注目していてください。かなりクレイジーですからね。ベースとなるNikeのスニーカーシルエットの選び方も最高で、このNike Air Max Sunder SPもその一つです。私の姉は1999年にオリジナルモデルを持っていましたが、当時とっても驚いたことを今でも覚えています。リング付きのファスナー、流線型のアウトソール、複数のAirパーツ...この時代のNikeはぶっ飛んでいました。
ブラックとホワイトでアップデートされたComme Des Garçonsのデザインは、カラフルな色合いで知られた、このシリーズから色を取り去って、質感を際立たせたもの。ネオプレンとヌバックを組み合わせたアッパーで、ダイナミックに仕上げられています。そして、どんな場所へでも履いていけるんです。ビーチには薄手のショーツに合わせたり、ストリートにはNikeのトラックパンツやデニムと合わせたり。さらにファーマルなパンツに合わせてドレスアップスタイルすることもできる無敵の一足です」
Nike x Sacai VaporWaffle
「レイヤリングが光る一足です。Nikeのコラボスニーカーで最もクリエイティブなひねりが効いた一足であるNike x Sacai（サカイ）のVaporWaffleは、そのシリーズのなかでも存在感を放っています。私は、この配色が好きです。というのも、ディテールまでよく見える色合いによって、双方のブランドならではディテールやレイヤリングが引き立っているからです。セサミ、ホワイト、ブルーの色合いは、クラシックなペイントが施されたモダンな車を感じさせます。個人的には、ショートパンツやシンプルなオーバーサイズスウェットと合わせるのがベストだと思います。見どころ満載のデザインなので、スニーカーを主役にスタイリングしましょう」
Nike × Off-White Air Force 1 ミッドカット スニーカー
「言っておくと、私はNike Air Force 1 のミッドカットが大好きなんです。最初に買ったAir Forceがミッドカットだったので、以来ずっと好んで履いています。それにしても、Air Force 1コラボのほとんどは、Air Force 1 ローカットが中心になっている気がします。Terror Squad（テラー・スクワッド）やMister Cartoon（ミスター・カートゥーン）の時代から、皆のお気に入りはローカットのようです。もちろんローカットも好きですが、コラボでAir Force 1 ミッドカットに挑戦しているのを知ると、俄然興味が湧きますね。この一足は、Nike × Off-Whiteのパートナーシップによる幅広いリリースの最新作で、前回ローカットに登場したアイデアを膨らませたモデルです。特徴は、Nike x Off-White Dunk同様の＜ロープ＞ディテールと、Air Zoom Tempo NEXT%やZoom Terra Kiger 5に見られたようなトレッドソール。Nike Air Force 1は、最も完璧なシューズですが、もし2035年に初めて発売されていたら、こんなデザインになっていたことでしょう。ヴァージルのレガシーは今でも、何年も先を行っているんです」
Nike x AMBUSH Dunk High
「Ambush（アンブッシュ）とNikeのパートナーシップは、フットウェアからウェアまでに広がっていますが、この一足はコラボを象徴するアイテムだと思います。このDunk ハイカットを見るたびに、なぜかよくわかりませんが、学校に通っていた頃、ノートにスニーカーを落書きしていたことを思い出すんです。それこそが、Yoon Ahn（ユン・アン）とAmbushが得意とするところであり、Nikeと未来的な冒険を共にすることで、定番を再解釈し新たな逸品を生み出ています。このNike Dunk ハイカットがそうであるように、性別を問わず履きたくなるデザインであることも気に入っている理由です。私ならバギーデニムとホワイトのTシャツを合わせます。そうすれば、完璧です」
