trends & subcultures2021年5月17日月曜日

アウトサイダーであることの誇りと、コミュニティ愛。ベルリンのダンスフロアで生まれたブランドGmbHって?

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By Emika Ohta Seger

Images courtesy of GmbH and Ritual Projects

GmbH(ゲーエムベーハー)は、2016年にファッションフォトグラファーのBenjamin Alexander Huseby(ベンジャミン・アレクサンダー・ヒュズビー)とメンズウェアデザイナーのSerhat Isik(セルハト・イシック)が設立したブランド。ベルリンのダンスフロアで出会った友人らが結成したデザイン集団としても知られ、ブランド名もドイツ語で<有限会社>を意味。アノニマスなネーミングには、往々にしてデザイナーだけに当てられがちなスポットライトを逸らす意図があり、コミュニティとコラボレーションに根差したブランドコンセプトを反映しているという。

 

文化的多様性やクラブカルチャーを着想源とするデザインには、アウトサイダーであることへの誇りと、ベルリンならではとも言えるクィア/テクノコミュニティへの愛が滲み出ている。シグネチャーアイテムは、PVC素材のパンツやヴィーガンレザーのアウター、大胆なカットアウトやスポーティーなディテールが光るトップスなど。洗練されたセンシュアルさと実用性を両立させた、絶妙なバランス感覚が魅力だ。バイオ素材やリサイクル素材、ファッション関連の工場が点在するミラノから調達したデッドストック素材を用いるほか、既存の服をアップサイクルするなど、環境に及ぼす影響にも十分配慮している。

キーワードはコミュニティ&コラボレーション

GmbHが目指すのは、ファッションの枠を超えてコミュニティを育み、政治・社会的なメッセージを世に伝えること。アーティストやパフォーマー、地域団体とのコラボレーションはもちろん、将来はエキシビションやイベント、出版を視野に入れ活動している。 イシックは、コンセプチュアルで実験的なアプローチで90年代のアヴァンギャルドシーンを牽引したデザイン集団、BLESS(ブレス)でも3年間デザイナーを務めたという。コラボレーションを重視し、商業的成功よりも自分たちのやりたいことを追求する姿勢は、当時の経験がヒントになったのかもしれない。

真の多様性

Black Lives Matter(BLM)などの影響でマイノリティの表象について語られることが増え、多くのブランドが単にマーケティング目的で有色人種のモデルを起用しているようにも見える一方、パキスタン人の父を持つヒュズビーとトルコ系ドイツ人であるイシックは、マイノリティであることがどういうことかを身をもって知っている。また共に同性愛者でもあることから性的マイノリティに関する意識も高く、ブランドのローンチ当初から、人種、性的指向、年齢などさまざまな背景を持つモデルを起用し、ファッション業界における多様性を牽引してきた。

排他的に見えて、インクルーシブ

<よそ者>であるということ、それを誇りに思うこと――。本来アンダーグラウンドであったあらゆるサブカルチャーは、近年、文脈を解さない人々に<インスピレーション>として消費され、メインストリーム化している。パンクやスケーターカルチャーなどが分かりやすい例だろう。少なくとも過去と同じ形でのサブカルチャーはもはや存在しないとも言われるなか、GmbHの原点であるクィア・テクノシーンでは、otherness(他と違うこと)を自認し、そんな感覚を共有する人たちと家族のような親密なコミュニティを築くスピリットが生きている。 誰かにとっては近寄りがたいかもしれないナイトクラブも、他の誰かにとっては、偏見やしがらみから解き放たれ自由になれる、世界でいちばん安全な場所になりうる。そこに集まるのは生まれ持った家族ではなく、自分で選ぶ、家族のような仲間たち。それは、GmbHというブランドそのものであり、彼らの核にある<ファミリー>という概念なのだ。

キーアイテム

2021春夏コレクションは、コロナウイルスの影響で工場が閉鎖していたことなどもあり、既にスタジオにあった素材を主に使用したという。異素材ミックスのプルオーバーや、タイトなカットアウトトップス、ヴィーガンレザーのコートやパンツなど、ブランドのシグネチャーを凝縮させ磨き上げたような、パワフルなコレクションになっている。

 

Latif ハーネス ショートスリーブシャツ

滑らかなヴィーガンレザーのショートスリーブシャツ。ハーネスを模したディテールが、肩のラインを強調し逞しく見せてくれる反面、絶妙なカッティングと程よく開いた胸元が、リラックスしたムードを醸し出す。

 

 

 

 

Arda ロゴ タンクトップ

中東や南アジアの文化に着想を得たディテールもGmbHの定番。今季も引き続き、トルコの文化において重要な意味を持つ<イービルアイ>モチーフが取り入れられた。オーガニックコットンを使ったタンクトップは、前から見るとハーネス風、後ろから見るとレイヤード風のディテールで捻りをきかせている。

 

 

 

 

Nashira トップ

100%オーガニックコットンを使ったリブ編みニットトップ。クロップド丈と長めの袖が腕をすらりと長く、腰の位置を高く見せてくれる。シグネチャーのジップとさりげないラップディテール、大胆なカットアウトとモックネックのバランスも完璧。

 

 

 

 

ヴィーガンレザー トレンチコート

ヴィーガンレザーのトレンチコートは、必ず持っておきたい定番アイテム。タフさとセンシュアルさが共存するシンプルなデザインは、着るだけでパワーがみなぎりそう。

 

 

 

 

メッシュパネル プルオーバー

オーガニックコットンとリサイクル素材のハイネックプルオーバー。コントラストの効いたメッシュのパネルのおかげで、走っても、踊っても、涼しい顔をしていられる。

 

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