クラシックなロゴカットソーに色とりどりのカゴバッグ、ドラマティックなパフスリーブのブラウス……。 ガーリーな中にパリジェンヌのエレガンスとクチュールの精神を感じさせる Patou (パトゥ)が、今インフルエンサーやファッション好きの間で注目されています。Netflix オリジナルドラマ『エミリー、パリへ行く』にも登場したほか、日本では世界初の旗艦店がオープンするなど、ますます人気が高まる Patou。今回は、そのブランドヒストリーと代表アイテムをご紹介します。
Patou とは? 長い歴史を持つフランスの老舗ブランド
創業は 1914 年! オートクチュールとフレグランスのメゾン
パリ出身の Jean Patou(ジャン・パトゥ)は 1914 年、23 歳でオートクチュールメゾン Jean Patou を立ち上げました。第一次世界大戦で一度ブランドは中断したものの、終戦後にパリ・サンフロランタン通りにブティックをオープンします。時代の先端を行くセンスでたちまち時の人となった彼は、制約の多い服から女性を解放したいと、コルセットのないドレスや丈の短いスカートを考案。新しいライフスタイルにいち早く対応し、シックなスポーツウェアを時代に先んじてつく作ったことでも知られています。当時のテニスの世界チャンピオンである Suzanne Langlen(スザンヌ・ラングラン)は、Jean Patou によるスカートをまとってコートに立ちました。
Créations JEAN PATOU – AU BORD DU CHEMIN (1927)
その後世界恐慌が影を落とすと、メゾンを立て直すため、1929 年には「世界で一番高い香水」として有名なフレグランス <Joy(ジョイ)>を発表。今日でもその名が知られるこの香水は、現在イギリスのDesigner Parfums(デザイナーパルファン)社が販売を担っています。
名だたるデザイナーが歴任
1936 年に創業者が亡くなると、その妹夫妻が経営を引き継ぎましたが、かつての輝きを取り戻すのは容易ではありませんでした。そうしてメゾンは次々に名だたるデザイナーを起用します。後にChristian Dior(クリスチャン・ディオール、)(現 Dior)でのキャリアで知られるようになる Marc Bohan(マルク・ボアン)に始まり、Michel Goma(ミッシェル・ゴマ)、Angelo Tarlazzi(アンジェロ・タルラッチ)が続いたほか、80 年代には Christian Lacroix(クリスチャン・ラクロワ)がアーティスティックディレクターに就任。さらに、Karl Lagerfeld(カール・ラガーフェルド)と Jean-Paul Gaultier(ジャン=ポール・ゴルチエ)が関わったこともありました。
しかし、1996 年にメゾン Jean Patou は活動を停止します。
新生 Patou へ
LVMH による買収とGuillaume Henryの就任
その後フレグランス事業を残し、しばらくは眠りについていた Jean Patou。しかし2017 年になって LVMH グループが株式を買収し、翌年には正式にグループ傘下のブランド、 Patou として再スタートを切ることになりました。
トップには、LOEWE(ロエベ)や CELINE(セリーヌ)、Givency(ジバンシィ)などのブランドを統括する LVMH FASHION GROUP(LVMH ファッショングループ)の会長兼CEOを務める Sidney Toledano(シドニー・トレダノ)が。そしてデザイナーには、直前まで Nina Ricci(ニナ・リッチ)に在籍していたGuillaume Henry(ギョーム・アンリ)が抜擢されました。
フランス生まれの Guillaume Henry は、 2009 年から 5 年間 Carven(カルヴェン)でアーティスティックディレクターを務めたことでも知られ、シックでフェミニンかつモダンなクリエーションに定評があるデザイナー。友人、仕事仲間、ミューズといった、リアルな女性たちからインスピレーションを得たというコレクションは、クチュールの精神を取り入れながらも日常使いしやすい、繊細かつ快活な印象ワードローブに仕上がっています。
Patou を代表する人気アイテム
#1 ロゴアイテム
Patou のクラシックなロゴがあしらわれたアイテムは、 一枚でもコーデが決まるアイテム。特に人気のロゴ T シャツは、艶のある上質な素材と、体の線を拾いすぎない適度に細身のシルエットで、カジュアルながらもフェミニンな印象の一枚。スカートに合わせてとことんガーリーに楽しんでも、ラフにデニムに合わせてパリジェンヌを気取っても。同じくロゴをあしらったスウェットなどのニットウェア、取り入れやすいバケットハットも狙い目です。
#2 カゴバッグ
ドラマ『エミリー、パリへ行く』に登場したり、芸能人が愛用していたりと、今一番話題のカゴバッグといえば間違いなく Patou のウィッカーバケツバッグ。ころんとしたバスケット型のフォルムと、ローマの<真実の口>から着想を得たという、アーティスティックでモダンな印象を添えるゴールドプレートが特徴です。
#3 つけ襟
ジュエリーでも服でもないのに、一点投入すればガラリと雰囲気が変わる便利なアイテムがつけ襟です。Patou のものはオーバーサイズで存在感大。様々なプリントや刺繍で展開されていて、シンプルな T シャツやニットに合わせるだけでドラマチックな着こなしが叶います。
#4 ブラウス
たっぷりのギャザーやボリュームのある袖など、Guillaume Henry らしい上品なロマンティックさを満喫できるのが Patou のブラウス。一見すると非常にガーリーなアイテムですが、素材の上質さとクチュール精神の宿るカッティングで、大人が着ても決まるモードでシックな仕上がりです。
#5 シャツドレス
きちんと感のある着こなしに欠かせないシャツドレス。辛口すぎたりシンプルすぎるデザインは苦手、という方にこそ、フェミニンなひねりが効いた Patou のものがおすす勧めです。
#6 ファンシーなコラボも上品に
なんと人気キャラクター BARBAPAPA(バーバパパ)とコラボしたカプセルコレクションも発売されています。パステルカラーで展開されるファンシーなアイテムたちですが、どこかレトロな色合いとフレンチシックなデザインで、大人も取り入れやすい仕上がりに。