元記事(英語):JOSEPH FURNESS
ただ服を生み出すだけでなく、ファッションを多元的に捉えているGrace Wales Bonner(グレース・ウェールズ・ボナー)。そんな彼女はロンドンを拠点とするブランドを通して、自身のヘリテージや興味、体験に基づくエキセントリックな世界へと様々な文化や世代の人々を引き付けています。ブランドであるWales Bonner(ウェールズ・ボナー)の人気と成功からみても、彼女の世界が多くの人々から受け入れられていると言えるでしょう。 .
イギリスとジャマイカにルーツを持つデザイナーの名を冠したブランドは、ロンドンのファッションシーンで最も注目されるブランドの一つに。そして、adidas(アディダス)と協業したコレクションは、今最も誠実なコラボレーションの一つになっています。今回は、そんなWales Bonnerのブランドとデザイナー、adidasとのコラボレーションについてご紹介。
Wales Bonner:デザイナーについて
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Grace Wales Bonnerは1990年代初め、ロンドン南東部でイギリス人の母とロンドン生まれのジャマイカ人の父との間に生まれました。父親は1948年〜1973年にかけて、当時イギリス領だったカリブ海諸国から移住してきたウィンドラッシュ世代の家族の末っ子でした。
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幼少期に両親が離婚し、Bonnerはロンドン南東部ダリッジにある母親の家とストックウェルにある父親の家を行き来して育ちました。
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Bonnerは幼い頃、父親に連れられて何度もジャマイカへ行きました。それにより、自身のバイレイシャル(二重人種)なアイデンティティをより深く理解するようになったのです。
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そして、2009年にロンドン芸術大学、セントラル・セント・マーチンズ(CSM)の学士課程へ入学。
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CSM在学中には、イギリスのファッションブランドMeadham Kirchhoff(ミーダム カーチョフ)と、アメリカ版『Vogue』誌ファッションエディター Camila Nickerson(カミラ・ニッカーソン)の下で、1年間のインターンシップを経験しました。
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卒業論文で焦点を当てたのは、黒人のリズム性。Charlie Parker(チャーリー・パーカー)や Jean-Michel Basquiat(ジャン=ミシェル・バスキア)、Kerry James Marshall(ケリー・ジェームズ・マーシャル)といったアーティストを取り上げました。
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『Afrique』と題された2014年の卒業制作コレクションは、「L’Oréal Professionnel Talent Award(ロレアル プロフェッショナル タレントアワード)」を受賞。同年に自身の名を冠したブランドを立ち上げました。
Wales Bonner:ブランドについて
自身の興味や性格、バックグラウンドなど、あらゆる側面を組み合わせた意義深いコレクションを制作するWales Bonnerには、彼女の多面的な本質が宿っています。さらに、映像やルックブック、広告キャンペーン、コラボレーション、ランウェイショーを通して、ジェンダーやセクシュアリティ、人種、政治にまつわる現代の社会問題との対話を促しています。
そんなGrace Wales Bonnerは、このラグジュアリーファッションブランドを2014年に創設して以来、ますます注目度を高めています。ブランド立ち上げの翌年、2015年には「British Fashion Awards(ブリティッシュ・ファッション・アワード)」でメンズウェア部門の新人デザイナー賞を受賞。2016年に 「LVMH Prize for Young Designer(LVMH ヤングファッションデザイナー・プライズ)」を受賞したことで、ブランドと彼女の認知度は一気にアップしました。
Wales Bonnerは現在、パターンがあしらわれたテーラードトラックスーツや、華やかでありながらカジュアルなニットウェア、クロシェドレスといったプレッピーボヘミアンの美学と、adidasとの継続的なコラボレーションで広く知られています。
Wales Bonner:adidasとのコラボレーション
adidasは毎年、数多くのブランドやデザイナー、クリエイターたちとのコラボレーションに取り組んでいます。その中でも、adidas Originals by Wales Bonner(アディダス・オリジナルス・バイ・ウェールズ・ボナー)のコレクションは、その誠実さで他と一線を画し、唯一無二の愛を感じさせるコラボレーションになっています。
このスポーツウェアとラグジュアリーファッションが融合したコラボレーションの大きな着想源の一つは、1970年代と80年代のジャマイカ系イギリス人のコミュニティ。創造力を掻き立てるため、Grace Wales Bonnerは父親とその友人たちのワードローブを見つめ直し、当時のサブカルチャーの本質的なスタイルを探求しました。そして、そこからの発見を、現代の消費者に向けて実用的なスポーツウェアに落とし込んだのです。
これまでBonnerとデザインチームが手がけた各コレクションでは、スリーストライプスがあしらわれたトラックスーツや典型的なSambaスニーカーといった、adidasを象徴するアイテムを再解釈。adidas Originals(アディダス・オリジナルス)のアイコンにラグジュアリーファッションのイメージをもたらしました。コレクションには、80年代をテーマとしたダンスホールイベントに着て行くのにもぴったりなアイテムが揃っています。
Wales Bonnerの注目アイテム
Wales Bonner Brixton ストライプ ニットベスト
Grace Wales Bonnerは、ストライプのニットベスト以上にジャマイカらしさを語るものはないことを、とても良く理解しています。Wales Bonnerによるクラシックなカリビアンスタイルは、鮮やかかつ大胆で、素晴らしい仕上がり。そして、意外なほどに着心地も抜群です。
Wales Bonner Sunlight ストレートレッグトラックパンツ
突き詰めると、Wales Bonnerがレトロな服のデザインによって目指しているのは、20世紀後半のブリティッシュ・ジャマイカンの文化を守りながら体現すること。このマスタードイエローのストレートレッグトラックパンツは、まさにBonnerがその核心をついていることを象徴しています。
Wales Bonner George ニットジップアップカーディガン
Wales Bonnerは、一年中活躍するテーラリングを得意としていますが、中でも素晴らしいのが季節の変わり目に着られるアイテム。例えば、このGeorgeニットジップアップカーディガンは、春や秋に毎日羽織りたくなります。
adidas Originals by Wales Bonner ジップアップスウェットシャツ
ラグジュアリーに仕上げられたワードローブの定番アイテムほど、私たちファッション通が惹かれるものはありません。そして今、adidas Originals by Wales Bonnerのジップアップスウェットシャツに心を奪われています。クロシェ編みのディテールに注目です!
adidas Originals by Wales Bonner Nizza Lo ホワイトスニーカー
Grace Wales Bonnerが、シンプルなスニーカーシルエットをリフレッシュする秘訣を心得ているのは明らかです。私たちがadidas Originals by Wales Bonner のスニーカーの中で気に入っているのは、2021年3月に発売されたNizza Los。控えめにブランド名があしらわれ、ノスタルジックな色合いで仕上げられています。