trends & subcultures2021年7月26日月曜日

今こそ着たい、アジア発の注目ブランド

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アメリカやヨーロッパでは今、アジア系住民に対するヘイトクライムや日常的な差別への抗議運動が広がっている。SNSでは、セレブリティやデザイナーをはじめ、たくさんの人々がハッシュタグ#StopAsianHateを使い、自身の体験やメッセージを発信。そんな中、アジア系デザイナーたちのビジネスをサポートしたり、その素晴らしい文化や才能を讃え合うことは、いちアジア人として私たちにできることのひとつかもしれない。 そこで今回は、魅力溢れるコミュニティへのトリビュートとして、注目のアジアンデザイナーが手がけるブランドをピックアップ。<メイド・イン・チャイナ>のステレオタイプを打ち砕く次世代中国ブランドや、K-POPだけではない文化的な豊かさを発信する韓国レーベル、世界を視野に活躍する日本人デザイナーをチェックして。

Susan Fang

 

ロンドンと上海を拠点に活動する中国人デザイナーのSusan Fang(スーザン・ファン)は、イギリスの名門セントラル・セント・マーチンズのファッション科を卒業後、Céline(セリーヌ)やStella McCartney(ステラ・マッカートニー) での経験を積み、2017年に自身の名を冠したブランドを設立。2019年度LVMHプライズではセミファイナリストに選ばれ、昨年には雑誌『フォーブス』の<30 UNDER 30 ASIA(アジアを代表する30歳未満の30人)>のアート部門にも選出された。得意とするのは、いくつもの生地を重ねて織ることで、グリッドのようなユニークなパターンと優れた伸縮性を生み出す<エアウィーヴ>というテクニック。オプティミズムに満ちた鮮やかなカラーのドレスや、透き通るバブルビーズを使った小物など、幻想的な独自の世界観と精巧なデザインでファンを魅了している。 今季のキーアイテムのひとつは、白いキャンバスにパステルカラーの絵の具をにじませたような、春らしいミディドレス。その抽象的なパターンの正体は、オーガンザ素材のレイヤーの中から透けて見えるフェザーの装飾。一見どんな構造かわからないような捻りのきいたデザインに、思わず惹きつけられる。一方、ブランドのシグネチャーであるクリアビーズでつくられたミニショルダーバッグは、FARFETCHとBrownsでしか手に入らない限定アイテム。フリンジ状になったショルダーストラップは、まるで滴る水滴のよう。ギリシャ神話に出てくる水の精になった気分で身に着けて。

SAMUEL GUÌ YANG

 

中国広東省出身のサミュエル・ヤンがセントラル・セント・マーチンズのMAを卒業すると同時に2015年にスタートしたSAMUEL GUÌ YANG(サミュエル・グイ・ヤン)。2017年からはパートナーのエリック・リッツェンも加わり、デュオとして活動している。クリエイティビティとサステナビリティ、フォルムへのこだわりが光る洗練されたデザインに中国の伝統衣装を彷彿とさせるディテールを落とし込んだ、ミニマルで折衷的なコレクションが特徴的。 <Bat(コウモリ)>と名付けられた薄手のシャツジャケットは、トレンチ風のワイドラペルをボタンで留めれば、クラシックなシャツカラーとして着ることもできる。その日の気分によって着方を変えられるデザインは、サステナビリティの観点でも未来を見据えた賢い選択肢と言える。一方、チャイナドレス風のディテールをあしらったハイネックジャケットは、ウエストラインを際立たせる精巧な仕立てがポイント。パワフルかつセンシュアルで、中国の伝統と現代性が融合したデザインは、ウォン・カーウァイ監督が手掛けた映画『花様年華』のような、東西の文化が入り混じる60年代の香港を思わせる。背筋を伸ばして凛と着こなしたい。

yuhan wang

 

yuhan wang(ユハン・ワン)は、セントラル・セント・マーチンズを卒業した後、Marni(マルニ)で経験を積み、2018年にデビュー。2019春夏シーズンからはロンドンを拠点とする若手デザイナーの登竜門Fashion Eastにも選ばれ、Charlotte KnowlesやASAIと共に将来有望株として脚光を浴びた。カルト的な人気の秘訣は、詩的でロマンティックなムードの中にどこか反骨精神を感じさせる独自の世界観。フェミニンでエレガントなシルエットと繊細なディテール、遊び心のあるプロポーション、肌見せの絶妙なバランス、柔らかな素材を重ねた構築的なデザインが特徴になっている。 今季は、ブランドのシグネチャーとも言えるフローラルドレスに加え、葡萄をモチーフにした刺繍とティアードフリルをあしらったスカートなどをラインアップ。ニュートラルカラーと甘すぎないコンパクトなシルエット、赤いボタンのアクセントが魅力的なレースカーディガンは、フレアな裾が軽やかに揺れるお揃いのミディスカートと合わせて。

sulvam

 

Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)でパタンナーとして経験を積んだ藤田哲平が設立したsulvam (サルバム)は、2014秋冬に東京でデビュー 。2018年からは主にパリでコレクションを発表し、日本だけでなく海外のファンを着実に増やしている。デザインの根幹にあるのは、<人の一部となる物づくり>。精巧なテーラリングとパターンメイキングの技術というベースにあるからこそ、遊び心や抜け感を演出するディテールが映える。 欧米諸国に比べて、ジェンダーの枠、特に<男らしさ>にとらわれずにファッションを楽しめる雰囲気が浸透しているのは、今の日本の良いところ。ブランドとしてユニセックスを前面に押し出すわけでも、大げさなアプローチをとるのでもなく、性別にとらわれない自由なデザインを自然に提供できるのは、日本人男性デザイナーならではの強みかもしれない。 先の見えない世の中でも<揺るぎない自己>を持ち、好きな服を着て、歩き続けよう――。そんなメッセージが込められた2021春夏コレクションの鍵となる要素のひとつは、意外性のあるカラーの使い方。グレーやブラックなどベーシックなカラーのテーラードアイテムには、裾から覗くペールピンクのライニングや大胆な素材の切り替えでアクセントを加えた。一方、<重たい>色として扱われがちなブラックは、あえて光を通し風をはらむような軽やかなシアーシャツに。春夏だからこそできる、涼しげなレイヤードスタイルを楽しんで。

Rokh

 

2016年に韓国人デザイナーのロク・ファンが立ち上げたRokh (ロク)。ソウルで生まれたロクはアメリカのテキサス州で育ち、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ卒業後、Céline(セリーヌ)や Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)でセンスと技術を磨いた。そんなさまざまな文化の中で培った経験を光るクリエイションの中でも、特に脱構築的かつ精巧なテーラードアイテムに定評がある。ニュートラルカラーのクラシックなアイテムには、カットアウトやアシンメトリーなど捻りの効いたディテールでさりげないエッジをプラス。ブランドが掲げる<ARTISANAL IMPERFECTION ®️>というスローガンのとおり、不完全さの中に美を見出すアプローチと、そこに説得力を与える優れたクラフツマンシップが特徴だ。公式インスタグラムは、グロッシーで典型的なルックブックやキャンペーンではなく、モデルのフィッティング写真に商品ラベルを貼り付けたような投稿が中心。完璧でないことを愛でるという、わびさびを感じさせるアプローチは、ブランディングにもしっかりと反映されている。 アンバランスなのにまとまりがあるデザインは、テーラリングを知り尽くした彼だからこその為せる業。レザー素材のスリーブが取り外し可能なトレンチコートや、切りっぱなしの裾と不規則なプリーツがユニークなアシンメトリースカートに注目したい。

Wooyoungmi

 

Wooyoungmi(ウーヨンミ)は、韓国初の女性メンズウェアデザイナーとしてSolid Homme(ソリッド・オム)を立ち上げたウー・ヨン・ミが2002年にスタートしたレーベル。緻密な計算に基づいたカッティングや、シャープでありながらも柔らかさを感じさせる絶妙なバランス、<共有できる服>というテーマを反映したアンドロジナスなデザインが魅力になっている。2014年からクリエイティブディレクターを務めていた実娘のケイティ・チャンがブランドを離れて初のコレクションとなった今季は、世界を舞台に活躍した伝説的ダンサー、ピナ・バウシュから着想。「dance, dance, otherwise we are lost(踊り続けなさい。 自分を見失わないように)」というピナの言葉をプリントしたTシャツをはじめ、彼女がユニフォームのように着ていたニュートラルカラーのテーラリングやトレンチコート、オーバーサイズのシンプルなシャツやセミシアー素材のセーターなどを提案している。

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