元記事（英語）：Nerys d’Esclercs
100 年近い歴史を誇るSalvatore Ferragamo（サルヴァトーレ フェラガモ）は今、エキサイティングな新章の幕開けを迎えています。2023年春夏ミラノ・ファッションウィークでは、新たにクリエイティブディレクターに就任した27歳の気鋭デザイナー、Maximilian Davis（マクシミリアン・デイヴィス）による注目のデビューショーを開催。今回はブランドの歴史や新生クリエイティブチーム、そしてデイヴィスが得意とするスタイルについて解説します。
Ferragamo：ブランドのはじまり
SSalvatore Ferragamo（サルヴァトーレ・フェラガモ）は妹のために初めて靴を制作した時、弱冠 9 歳にして自身の天職を見つけました。16 歳で渡米したフェラガモは、セレブリティにシューズをつくり始めたカリフォルニアで、たちまち評判を集めます。そして1927 年、13 年間のアメリカでの生活を終えて、フェラガモはイタリアのフィレンツェへ帰国しますが、その後もMarilyn Monroe（マリリン・モンロー）らハリウッドスターのために靴をつくり続けました。彼のシグネチャースタイルには、Cageヒールや Varaパンプスがありますが、なかでもアメリカ人歌手兼女優のJudy Garland（ジュディ・ガーランド）が主演した『オズの魔法使い』の劇中歌『虹の彼方に』に敬意を捧げ、1938 年に制作したRainbowスタイルによって、フェラガモのシューズ界での地位が確立されたといえます。
フェラガモは1960 年に62歳で生涯を閉じましたが、彼の名は靴だけにとどまらず、バッグ、アイウェア、シルク小物、時計、パフューム、ウェアへと拡大した世界有数の象徴的なファッションブランドとして、生き続けています。ブランドは、現在もフェラガモ家によって所有されており、ラグジュアリーの新顧客層にリーチすることを目指し、2022 年 1 月にBurberry（バーバリー）を率いてきたMarco Gobbetti（マルコ・ゴベッティ）を新たなCEOとして迎えました。そして彼は、2022 年9月にデビューコレクションを発表したマクシミリアン・デイヴィスをクリエイティブ・ディレクターに任命することから、任務に着手しました。
マクシミリアン・デイヴィスについて
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業したイギリス人デザイナーのマクシミリアン・デイヴィスは、2021年春夏シーズンに若手デザイナー育成プログラムのFashion East（ファッション・イースト）に選ばれ、ロンドンファッションウィークでデビューを飾りました。自身の名を冠したブランドを設立する前に、Grace Wales Bonner（グレース・ウェールズ・ボナー）やSupria Lele（スプリヤ・レーレ）といったデザイナーの下で経験を積んだデイヴィスの強味は、テーラリング。2022年のLVMHプライズではセミファイナリストまで残りましたが、同年3月に Ferragamoのクリエイティブディレクターという大役を任されることとなり、その後の選考から辞退しました。
Ferragamo の新たな一章
このイタリア発ブランドの再生を任されたマクシミリアン・デイヴィスは、過去のハリウッドを振り返えることでそれを成し遂げています。彼自身が『新しいハリウッド』と呼ぶコレクションで提案したのは、光沢のあるレザー、タイトフィット、マイクロミニショートパンツなどのフェティッシュな要素をさりげなく融合したデザイン。また、タンクトップやロールネック、レギンスといった洗練されたデイリーウエアと肌が覗くエフォートレスなニット、シアーな素材、なめらかなシルク、オーガンザがレイヤードされたスタイルに、スエードサンダルと洗練された小物を合わせています。
サルヴァトーレ・フェラガモが1959年にマリリン・モンローのためにデザインした煌めきを放つアイコニックなレッドシューズを着想源とするクリスタルが散りばめられたスタイルも登場。さらに、ブランドの歴史において重要な意味をもつ今回のコレクションでは、パントンによってデザインされた新たなフェラガモレッドが、キーカラーとして用いられています。その他には、アーティストのRachel Harrison（レイチェル・ハリソン）による『Sunset Series（サンセットシリーズ）」から抜粋されたカラーパレットのグラデーションプリントが、ウェアやアクセサリーを彩りました。そんなデイヴィスのコレクションは、11月4日からお求めいただけます。
